知恵ノート85


「Jリーグにドラフト会議が無い理由」



毎年秋冬になると必ず質問される

「Jリーグにドラフト会議が無いのはなぜ?」

・・・という質問の回答をここに集めたいと思います。


入団のルールは徐々に
変わっていきますのでご注意下さい。

5年後はまったく違う場合があります。
(この知恵ノートは主に2016年に書かれました)
一番下に補足があります。



@「選手はJリーグのクラブに どのようにして入団するのか?」


◆JリーグはJクラブ(球団)が
中学・高校・大学などのアマチュア選手と
自由に契約して入団ができる。


◆中学・高校・大学のチームに所属している選手も
オファーがあれば自由にチームを選んで入団できます。

選手に複数のクラブから獲得オファーがあれば
金銭面、環境、施設、契約内容、
クラブの実力や
現状を考えて好きなクラブに入団できます。


◆Jリーグのクラブは自前のユース選手を育てることが
義務付けられており、子供の時からJクラブに所属して、
そのままプロになる選手がいる。
(例:横浜FCジュニアユース→横浜FCユース→横浜FC所属プロ選手)

海外では学校の部活が無い国も多く、
強豪国では子供からプロまで行くのは
ユースが圧倒的に多い。

ちなみにユース所属の選手でトップチームの
プロ選手になれなかった場合、
他のプロクラブからオファーがあれば
他のクラブに行き、プロ選手になれる。


◆サッカーはプロとアマチュアの壁が無いようなもので、
在学中にもスカウトによってJクラブの練習生として参加し、
プロの試合に出ることもある。

また有能な学生選手は、どのクラブが自分に合うか
複数のクラブで練習生として参加して決める場合もある。


◆プロサッカー選手になるには卒業する年でなくても良い。
香川真司は高校2年の時に
セレッソ大阪にスカウトされて入団した。
結局1年間試合に出れなかったものの、
この1年が大きかったとのちに語っている。

長友佑都や武藤嘉紀も大学サッカー部で、
在学中にFC東京にスカウトされてJリーグの試合に出た。


◆社会人選手の場合、選手の所属は企業であり、
企業と選手とJクラブの三者が合意すればプロになれる。


◆外国人の新人選手でも獲得できる。
同じように海外から日本の新人選手も獲得できる。
高校を卒業して海外クラブに行った選手もいます。


◆ごくまれにJクラブとアマチュアクラブの練習試合で
アマチュア選手が大活躍して、
Jクラブの練習生として入団し、
プロ契約まで進んだ中澤祐二の例もある。

天皇杯でアマチュアクラブがJクラブにたまに勝つのは、
プロに勝って雇われようと頑張る理由もある。


◆J3はクラブの練習場でセレクションをして
入団できる場合もある。
ただJ3はプロとアマチュアの境のリーグなので、
プロ選手としてお金がもらえるかどうかはクラブによる。





A「では、Jリーグがドラフトをやらない理由とは?」


サッカーの新人選手獲得は
全世界で自由競争が常識とされている。
ドラフトをやっているのは韓国とアメリカくらいである。
(韓国は2015年からドラフトは廃止された)


そのサッカー界のドラフトは抜け道が普通にある。
実際韓国の若手は、ドラフトにかけられないで
韓国より給料の高いJリーグに来て、
欧州へ早く行くことを考えている選手がいた。


野球はプロとアマで組織が分かれているけど
サッカーは分かれていない。
同じ日本サッカー協会の管轄で、
しがらみも揉めることも少ない。


Jリーグおよび世界中のサッカークラブにユースチームがある。
自前でユースの選手を何十人何百人と育てているのに、
ドラフト会議というもので他のクラブに選手を取られたら
ユースに何の意味があるだろう。


◆サッカーは小学生・中学生の時点で優秀な人材は
すでにスカウトによって、ユースチームに所属させるから。
特に海外のビッグクラブは他国のサッカー少年でも
普通に獲得をする。


◆日本サッカーを背負う逸材が、ドラフト会議というもので
Jリーグで一番下のランクのJ3クラブに行ったら
才能の無駄である。

そもそもサッカー選手は選手寿命が短いから、
何年も無駄に所属はできない。


◆プロ野球は12球団の興業である。
人を楽しませるためのルールをアメリカから取り入れた。

Jリーグの場合は地域にスポーツを広め、
サッカーリーグの興業をすると同時に、
世界中の国とのサッカー選手・クラブ・リーグ・代表の
厳しい競争があって、それを含めて楽しむものだ。

多くの国が施行している入団・移籍のルールがあり、
日本独自の形式では他の国に取り残されてしまう。

プロ野球も全世界でおこなわれるようになれば、
サッカーのような自由競争になるのではないか?


◆ドラフト会議は他のスポーツもやっていない。
選手と各チームが自由に話し合いをして決めている。
ドラフト会議の存在の方が特別では?


現実の就職でも入社するときはドラフトなどなく、
大企業が優秀な人材を大量に雇っている。


◆理由ではないけどドラフト会議の、くじ引きで
選手が好きなチームに行けないのはおかしい。

選手の関係ない場所で、くじ引きによって
自分の人生を決められるのは正しいのか?
憲法で定められている「職業選択の自由」に反していないのか。

ある国のサッカー少年が
自分の好きなクラブに憧れてユースに所属し、
クラブを強くしたいと思い続けて、
実際プロになって強くさせた話もある。

たとえばダイエーホークスに憧れた野球少年は
じ引きによってダイエーに行けなくなり、
大学へ進んだものの才能を腐らせてプロになれないことが、
正しいのかどうかサッカーファンには理解できない。

ドラフトは少年の夢を奪っているだけではないのか?




B「ドラフトをしないと戦力が均等にならないのでは?」


サッカーの世界では戦力を均等にする必要が無く、思想も無い。
ブラジル代表やドイツ代表が強くても戦力を均等にできませんし、
世界中にたくさんあるサッカークラブも多すぎて均等にならない。
強くさせる努力は正しく、経営努力を認める世界である。


どこの国・大陸にもチャンピオンズリーグがある。
各国の王者が対戦する大会があるから、
日本で強いチームを作っても
中東などの百億円以上で作った強豪チームが待っている。

その上にはクラブワールドカップで
欧州や南米のクラブ王者が待っている。
世界中のクラブとの競争は激しく、強ければ強いほど良い。


◆一方でプロ野球は大半の国でおこなわれていない。
またプロ野球日本シリーズの王者がメジャーリーグの王者と
対戦するようなものも無いし、国際試合はあっても少ない。
(プロ野球アジアシリーズは休止中)

国内リーグを盛り上げるためにドラフトが必要なのでは?


◆サッカーはすでに裕福なクラブと
お金のないクラブで差がついている。
今さら調整することは考えられない。


◆お金のあるサッカークラブに良い選手が集まっても、
全員上手く育つわけがない。他のクラブの同じ年齢の選手に
実力で抜かれる事も多い。


◆サッカーリーグで戦力を均等にしたいのなら
最初からクラブを増やしていない。


◆Jリーグは強いチームはJ1,弱いチームはJ2、
その下にJ3と、戦力はある程度は分けられている。


サッカーは試合が少なく、良い選手がたくさん集まるクラブは
レギュラー争いが激しく簡単には試合に出られない。
新人がずっと控えにいては成長できないので、
試合に出れないサッカー選手は、すぐ移籍(レンタル移籍)する。
サッカーは移籍が野球ほど厳しくないので、
実力による自然淘汰は少しながらある。


◆サッカーは点がなかなか入らないスポーツなので、
相手チームの10倍の予算を持った強豪チームが、
お金のないチームに負けることが、わりとある。
そもそも野球とスポーツの違いは大きいのでは。


◆サッカーはクラブが多くて移籍が活発なので、
新入団の選手と同じくらい、
移籍をする選手も重要な目で見られてる。
悪く言えばサッカーは野球ほど育成至上主義ではない。


現実社会も均等になっていない。
有能な学生は大企業のエリートとして就職する。
世の中には均等になることの方が少ない。


野球もアマチュアリーグは戦力が
均等になっていないのでは。


ドラフト会議はくじ引きをしている時点で
均等になっていないのでは?

良い引きができたら片寄るのでは?



C「契約金や年俸の高騰が起こらないのはなぜ?」


Jリーグは各クラブが30〜40人、
その中でA契約(年俸の上限無し)の選手は原則25人まで。

契約当初は全員C契約(年俸460万円以下)で、
A契約以降は一定の試合数出場が条件となっている。

元々サッカーは試合数が少ないうえ、
出場選手もスタメン11人交代3人と限られている。
契約しても試合に出られなければ意味がなく、
未知の新人にプロ野球ほど大枚をはたくことは考えられない。


つまり層の厚いクラブは実力でポジションが取れなければ
年俸が上がりにくく試合にも出づらいので、
選手は層の薄い所に行こうと思う選手もいる。
ちなみに契約金(支度金)はかなり低い。


◆スポーツが全然違う。プロ野球は毎日試合をするために
主に登録選手70人+育成選手十数人の大所帯、
1球団にピッチャーだけで30人いるなんて珍しくない。

そして1軍の登録が28人、控え選手が25人で交代は自由。
1軍の試合が約143試合、2軍の試合が約100試合。
お金がかかって当然。

経営にいたっては100億円以上かかる。
サッカーのJ3クラブにいたっては
一番下で数億円で経営できるので比べられない。


◆Jクラブが必要以上のお金を使って、
クラブの経営を悪化させてクラブをつぶさないため。


Jリーグにはクラブライセンス制度というものがあって、
3年連続赤字経営だと自動で降格してしまう。
お金があまり使えない。


サッカーで稼ぎたかったら、自分の足で
JリーグでMVPを取り、代表選手になり、
海外に行って年収何十億を稼ぐぐらい、
世界のスターになってこいという世界である。
新人のうちから裏金など大金を使う方が普通ではない。


中田英寿選手のように湘南に入団する代わりに、
ぐに海外移籍できると確約させるなど、
お金以外の条件を付ける選手がいるから。

Jリーグに居る時は試合出場と経験を積み、
お金は海外と代表で稼ぐのを目標にして
移籍を考える選手もいる




D「ドラフトが無いとサッカーは盛り上がらないのでは?」


これからどうなるかわからない若手を
プロになる前から無理に盛り上げる必要が無い。
サッカー選手として結果を残し続ければ
自然と盛り上げるだろう。


スポーツ選手で一番大事なのはスポーツの試合である。
入団を決める行事ではない。


◆プロ野球は興業とはいえ
日本のメディアが異常なほど盛り上げ過ぎでは?
ドラフト会議が原因で自殺した人間もいるので、
盛り上がることが正しいとは思わない。





補足

ここに書いたプロ野球の球団とは
独立リーグやメジャーリーグは含んでいない。
セパ12球団の事である。


この知恵ノートはいろんな人の回答を参考にして作りました。
自分の回答が勝手に使われたと、お思いの方は
大変申し訳ありませんとしか言いようがないです。

知恵ノートのアドバイスに、その項目は
自分が書いたものですと書いてもらえたらと思います。


またドラフトに批判的な回答が多いのは、
サッカーカテゴリーなので仕方ありません。


結局、サッカーと野球は違うスポーツです。



この知恵ノートを作ってわかったのは、
プロスポーツ選手の入団=ドラフト会議と
思っている人がどれだけ多いのか、よくわかった。

自分も昔は野球ファンだったから気持ちはわかるけど、
野球の常識が普通に思うことは
どうなんだろうなと思う。

メディアが野球を詳報に伝えるからかもしれないけど、
メディアはもっとサッカーの新入団選手の情報を
もう少し伝えてもいいように思う。


ちなみにドラフト会議やサッカー入団の
細かいルールは複雑過ぎるので
極力書いていません。


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